回向院の猫塚  猫定の落語

三遊亭圓生さんの落語で「猫定(ねこさだ)」というのを聴いたことががあります。


行きつけの居酒屋で、川に放り込んでしまおうと2階に縛り付けられていた猫を、かわいそうだともらってきたばくち打ちの定吉。
(落語の中では「魚屋」っていうのがばくち打ちの隠語になっているようなところもあるみたいで、魚屋とはいうものの、実際にはばくち打ち、という言葉が出てきていたように思う。)
拾われた猫は、鳴き声で丁半ばくちの丁か半かを言い当てて、そのために大儲け。
いつも猫を連れ歩いているので「猫定」というあだなまでつくようになる。
・・・
猫定の女房に間男(不倫相手?)ができて、猫定が邪魔になり、不倫相手と相談づくで不倫相手が猫定を殺害。
ところが、この間男相手と家で待っていた女房はあっという間に何者かに殺されて死んでしまう。
・・・
通夜の席で、棺桶に入っていた定吉が踊りだしたりする。
最終的には猫の恩返しだろう、というところで終わる、結構長い、ドキドキするおはなし。


その猫の恩返しをした猫が、両国の回向院の中にある猫塚に最初に葬られた猫だよ、という話を聞いて、猫塚にお参りに行きたくなりました。

 
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猫塚のある回向院は、古い歴史のある江戸時代からのお寺です。

江戸時代の明暦3年(1657年)、市街の6割以上が焼土と化し、10万人以上の人々が命を落としたといわれている振袖火事という大火がありました。
そしてその時の遺体の多くが身元不明、引き取り手のない状態でした。
当時の将軍家綱が、このような無縁の人々の亡骸を手厚く葬るようにと建てたのが回向院の歴史の始まりだそうです。

ちなみに、この時の火事では、火事から逃げ惑う人々が、隅田川を超えて逃げたかったのに、橋がないために逃げ場がなく、多くの人々が亡くなったのだそうです。そして、そのあとこのようなことがないようにと架けられたのが両国橋だそうです。

 

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と、話を戻して、猫塚。
回向院の門を入って、敷地内の左奥の方にあります。回向院にはねずみ小僧の墓もあって、ちょうどその奥あたりです。大きな樹木の下にある、猫の好きそうな場所、涼しげな静かなところでした。
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その横には、猫塚のお話も書かれていました。ただ、私の知っている落語のお話とはちょっと違ったお話でした。
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猫の恩返し(猫塚)
猫をたいへんかわいがっていた魚屋が、病気で商売ができなくなり、生活が困窮してしまいます。
すると猫が、どこからともなく二両のお金をくわえてき、魚屋を助けます。
ある日、猫は姿を消し戻ってきません。ある商家で、二両くわえて逃げようとしたところを見つかり、奉公人に殴り殺されたのです。それを知った魚屋は、商家の主人に事情を話したところ、主人も猫の恩に感銘を受け、魚屋とともにその遺体を回向院に葬りました。