北区の王子駅近くに、王子稲荷があります。
その王子稲荷からJRの線路をはさんで反対側、装束稲荷があります。
今から約千年の昔、この付近一帯は野原や田畑ばかりでその中に榎の大木がありました。
毎年大晦日の夜、関東八ヶ国の稲荷のお使いがこの榎に集まり、ここで装束を整えて関東総司の王子稲荷にお参りするのだそうです。当時の農民はその行列の時に燃える狐火の多少によって翌年の作物の豊凶を占ったと語り伝えられています。
榎の大木は明治中期に枯れてしまい、そこに建てられていた社も土地発展に伴い移されたそうです。
こういった歴史で、榎の大木の場所に社を建てて 王子稲荷の摂社として祭られたのが装束稲荷だそうです。
ちなみに摂社(せっしゃ)とは、本社の境内外にわたってあり、縁故の深い神をまつるところ。
社殿に向かって右側には、大田南畝(おおた なんぽ、寛延2年(1749) – 文政6年(1823
いざあけん えび屋扇屋 とざすとも 王子の狐 かぎをくはえて
そして、ここの狛狐は、本当にかぎをくわえていました。
大田南畝がこの歌をよんだときは、まだ社はなく、狛狐はいなかったのではないのでしょうか・・・。この歌は、どういう意味でよんだんだろう。
ちなみに、えび屋、扇屋は料理屋だそうですよ。
江戸時代の榎の大木が歌川広重の絵に描かれています。