たぶん「鹿政談」の落語のまくらの中だったと思うのですが、それぞれの都の名物が出てきます。江戸落語と上方落語とで違うのか、師匠からの聞き伝いで違ってくるのか、微妙に違っていたりしてちょっと面白いです。
江戸の名物は
武士 鰹 大名小路 広小路
茶店 紫 火消 錦絵
火事に喧嘩に中っ腹伊勢谷(2017/8/18修正) 伊勢屋 稲荷に犬のくそ
茶店 紫 火消 錦絵
火事に喧嘩に中っ腹
ぶし かつお だいみょうこうじ ひろこうじ
ちゃみせ むらさき ひけし にしきえ
かじにけんかにちゅうっぱら いせや いなりにいぬのくそ
ちゃみせ むらさき ひけし にしきえ
かじにけんかにちゅうっぱら いせや いなりにいぬのくそ
というんだそうです。
武士
やたらにえばっていたそうで、天下の往来の七分を武士が使って、残り三分を農工商があるいていたとか。ちなみに落語家はどぶの中を泳いでいたとか・・・。「たがや」のまくらで志ん朝さんが話してましたよ。
鰹
江戸っ子は初鰹には目がなかったとか。かかぁ(おかみさん)を質に入れても食べたとか。(おかみさんを質草にしてくれるのかしらね)
大名小路
親藩や譜代大名の藩邸がたくさんあった場所のことらしい。丸の内界隈がそうだったようですよ。
広小路
幅の広い街路。そういえば日本橋を描いた煕代勝覧(きだいしょうらん)でも道幅がとても広かったですよね。
(広小路ではなく、「生いわし」と言っている噺も。)
(広小路ではなく、「生いわし」と言っている噺も。)
茶店
「猫の皿」などの落語に出てくる茶店、でしょうか・・・。ちょっと色っぽい、吉原の花魁に会いに行く前に上がるお座敷のことでしょうか、ね。
紫
歌舞伎の助六が頭に巻いているような紫でしょうか。江戸紫と言われる江戸で染めたことからこの名がついた青みがかった紫だとか。
火消
火事の多かったころの火消はカッコいい憧れのお仕事だったのでしょうね。
錦絵
今まで白黒だった絵に色がついて錦絵が江戸時代流行したそうですよ。モノクロTVからカラーになった時のような感じでしょうかね。
火事
家も木造、おまけに密集していたこともあって、本当に火事が多かったようですね。
木材置き場の「木場」も火事が起きるたびに江戸城から遠く離されて、3回も引っ越ししたとか。
木材置き場の「木場」も火事が起きるたびに江戸城から遠く離されて、3回も引っ越ししたとか。
喧嘩に中っ腹
中っ腹は辞書によると「気みじかで威勢がよいこと。」だそうで江戸っ子の特徴なのかしら?
「三方一両損」でも金太郎の喧嘩を喜んでいるような大家さんがいますよね。
「三方一両損」でも金太郎の喧嘩を喜んでいるような大家さんがいますよね。
伊勢屋 稲荷に犬のくそ
伊勢屋という名前のお店も、お稲荷様も、犬の○○○も、多かったんでしょうね。
京都の名物と言えば
水 壬生菜(みぶな) 女 染物 張扇(はりおうぎ)(2022/4/25修正) 針 扇 お寺 豆腐に 人形 焼きもの
とか
水 壬生菜(みぶな) 女 羽二重 みすや針(みっしゃばり) 寺に 織屋に 人形 焼きもの
奈良の名物は
大仏に 鹿の巻筆(しかのまきふで) 奈良晒(ならさらし) 春日灯篭 町の早起き
とか
大仏に 鹿の巻筆(しかのまきふで) あられ酒 さらし 奈良漬け 奈良茶粥 春日灯篭 町の早起き
鹿の巻筆とは、辞書によれば「江戸前期の咄本(はなしぼん)。収められた笑話は江戸落語の基礎ともなる。」もののだそうです。
奈良晒は「奈良近在で産出した麻織物。」
大阪の名物は
橋に船 お城 芝居に 米相場 問屋 かき船 石屋 植木屋
とか
船と橋 お城 総嫁(そうか)に 酒 かぼちゃ 石屋 揚屋に 問屋 植木屋
コトバンクによると、総嫁(そうか)とは、「江戸時代、京坂地方で、路上で客を引く最下級の売春婦をいう語」だそうです。
※当記事内の間違いを教えていただいた方々、ありがとうございます!