飲んだくれで仕事をしない魚屋のぼてふり(天秤棒を担いで行商する人)。
腕のいい魚屋さんなのに仕事をしないからそのおかみさんが何とか仕事に出そうとする。
朝早くおかみさんに起こされてしぶしぶ魚市場に。
なぜだか市場が開いていない。
そのとき時を知らせる鐘の音が聞こえる。
どうやらおかみさんが起こす時刻を間違えたらしい。
戻るもの面倒で時間をつぶそうとしたとき、大金の入った財布を見つける。
大喜びで帰ってきてまた飲んだくれてしまう亭主に、財布を拾ったのが夢だといって、まじめに働かせる・・・
よく知られた古典落語の「芝浜」
時計のなかった江戸の時代、庶民は時刻を鐘の音で知ったという。
明け六つ(むつ)が朝の6時ごろ。日の出のころだったという。日の入りのころが暮れ六つ。
それから約2時間ごとに、いつつ、よっつ、と下がってくる。
なんで数字が小さくなるの?と思っていたら、実際には9の倍数の1の位だけになったという。深夜の9つ(ここのつ)から始まって、9×2=18、9×3=27、9×4=36、9×5=45、9×6=54、の1の位、8、7、6、5、4、なんだそうな。
どうも、鐘を鳴らすのに54回も突いてはいられない、ということで1の位だけになったらしい。
ちなみに、鐘はまず最初に捨て鐘を打って、これから時を知らせますよ、と合図しておいて、そのあとに時の回数を鳴らすそうな。
日の出と日没によって時刻が変わるので、季節により違うし、昼と夜の一時の間隔もちがう。おまけに9進数(9つずつ位が上がっていくもの)。今の人々なら考えすぎてわからなくなっていそうだが、「そんなもんだよ」と言うこえが聞こえてくるような気がする。
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